ここでは、家づくりで失敗しないために、まず最初に考えるべき大切な3つのステップを、具体的な例とともに解説します。
「どんな暮らしがしたいか」を家族で話し合う
家は単なる「モノ」ではなく、毎日の生活を包み込む「器」です。だからこそ、家族にとって心地よい暮らしとは何か、という感覚的な理想からスタートするのが重要です。
✅理想の暮らしリストを作ってみよう
いきなり間取りや設備の話をする必要はありません。まずは、今抱えている不満や、「こんなことができたら最高!」という願いを自由に書き出してみましょう。
・例えばリビング、収納、家事動線、趣味など、大まかにカテゴリー分けをして考えます。
・次にそれぞれのカテゴリーについて、今の不満・問題点と、理想の暮らし・要望を書き出してみましょう。
例:今の不満・問題点
リビング
・子どものおもちゃで散らかりがち
・書斎やテレワークスペースがない
収納
季節家電や洋服が溢れている
家事
・洗濯物を干すのが大変(外干し)
・調理スペースが狭い
趣味
・キャンプに興味があるが用品の収納場所がない
例:理想の暮らし・要望
リビング
・広々としていて、家族みんながくつろげる。大きな窓から光が入るようにしたい
収納
・玄関に土間収納を作って、ベビーカーやアウトドア用品をすっきりしまいたい
家事
・ 1階にファミリークローゼットを設けて、洗濯→干す→しまうの動線を短くしたい
趣味
・趣味のガンプラ制作も兼ねた、集中できる書斎が欲しい
「ざっくり予算」の目安を決める

理想の暮らしが見えてきたら、次に現実的な条件として予算の目安を決めましょう。
「銀行に相談してから…」と後回しにしがちですが、大まかでいいので最初に決めておくと、その後の土地探しや住宅会社選びがスムーズになります。
✅「月々の返済額」を基準に考える
予算を決める際、家の総額(建物+土地代)だけを見てしまうと、月々の生活が苦しくなることがあります。
現在の家賃を参考に、無理なく払い続けられる月々の返済額から逆算するのがおすすめです。
例:今の家賃・・・10万円
・理想の月々返済額: 9万円(現在の家賃より少し下げて、貯金もしたい)
・その他(固定資産税、修繕費など): 毎月2万円を積み立てたい
= 住宅ローン返済に充てられる理想は月9万円。
この「月9万円」が無理なく返せるローンの借入額はいくらか?という視点から、「建てられる家の総額」をざっくりと把握しておきましょう。
【注意!】 建物や土地の代金以外に、諸費用(登記費用、ローン手数料、税金など)が総費用の1割〜1.5割ほどかかります。
予算オーバーを防ぐために、この諸費用も忘れずに見込んでおきましょう。
「土地」と「建物」の優先順位を決める

家づくりは、「土地」と「建物」のバランスが非常に重要です。どちらか一方にお金をかけすぎると、後悔の原因になることがあります。
例:「駅近か?」「広さか?」の場合
①Aさんの場合:共働き夫婦
・希望: 駅から徒歩5分以内の利便性の高い土地。
・結果: 土地が高かったため、建物の広さは少し妥協し、収納は造作ではなくIKEAの家具で対応することにした。
・満足度: 高い。毎日の通勤が楽になり、生活の質が上がった。
②Bさんの場合:子育て中の家族
・希望: 庭でバーベキューができる広い土地と、開放的な大きなリビング。
・結果: 駅から少し離れた郊外の土地を選び、浮いた土地代を建物に充てて、開放的な吹き抜けと大きなウッドデッキを実現した。
・満足度: 高い。子どもの遊び場ができ、理想の休日を過ごせている。
このように、家族のライフスタイルによって「土地に重きを置くか」それとも「建物に重きを置くか」の答えは変わります。
家族会議で、どちらがより重要かを話し合い、優先順位を決めておくことで、家づくりが迷走しなくなりますよ。